KeTCindyのインストールと設定
KeTCindyのインストールと設定に関して、Ubuntu18.10(Linux)とWindows10向けに書いておきます。公式のHowToInstallJ.pdfに従います。実際にKeTCindyを使った事例や使い方はこちらから。
- Windows10でのKeTCindyのインストール
- Ubuntu18.10でのKeTCindyのインストール
- (オプション) gccのインストール
- (オプション) UbuntuでのCinderella2の関連付け
Windows10でのKeTCindyのインストール
https://github.com/ketpic/ketcindyより、KeTCindy一式をダウンロードします: "Clone or download" をクリックして、Download ZIPをクリックします。zipを解凍して、forWindowsフォルダに入っているインストール手順に従えばよいです(が、つまずいたので以下にbatファイルに頼らない手順を書いておきます)。
まず、Cinderella2、R(統計分析ソフトウェア)、Maxima(数式処理ソフトウェア)、TeX(組版システム)をインストールする必要があります。また、Windowsでは、Sumatra PDF (PDFビューア)もインストールしておくと良いです。
Cinderella2に関しては、CinderellaJapanに書いてあるとおり、安定版(ビルド番号1835)よりベータ版(ビルド番号1901)をダウンロードしたほうがいいです。Windows Installerのcindyinstall.exeをダウンロードして実行するだけです。
Rについては、R baseをhttps://cran.r-project.org/からダウンロードし、MaximaはMaxima-Windows (SourceForge)から最新版をダウンロードして、それぞれインストールします。
Sumatra PDFのインストールに入ります。PDFビューアはAdobe Readerを使う方が多数だと思いますが、更新されたPDFの表示が自動で更新されるので便利で、Adobe Readerとも共存できます。インストールはSumatra PDFの公式にある最新版のinstallerをダウンロードしてインストールします。
最後にTeXのインストールを。すでにTeX環境が整っているならば、ここでやることはないです。
ここではKeTTeXを導入してみましょう。KeTCindyを動かすための軽量なTeX環境です。ここから kettex.exeを直接ダウンロード。自己解凍書庫ですから、実行して出てきたkettexフォルダをCドライブ直下C:に置いておきましょう。
いよいよKeTCindyをインストールします。ここで、解凍したketcindy-masterフォルダの構造は次のようになっているはずです:
ketcindy-master
├── HowToInstallE.pdf
├── HowToInstallJ.pdf
├── LICENSE
├── README
├── forLinux
├── forMac
├── forWindows
│ ├── ReadmeWinE.pdf
│ ├── ReadmeWinJ.pdf #Windowsの場合のインストール手順
│ ├── setketcindy.bat
│ ├── setketcindytexlive.bat
│ ├── setketcindyw32J.bat
│ └── setwork.bat
├── ketcindyfolder
│ ├── doc
│ ├── scripts
│ ├── style
│ └── work
│ ├── Scriptkelib.txt
│ ├── ketcindy.conf #TeXなどパスの情報を書き込む
│ ├── samples
│ ├── template0.cdy
│ ├── template1basic.cdy #最初に試すサンプルファイル
│ ├── template2slide.cdy
│ └── template3Dfigure.cdy
└── tl-integration
KeTCindyを入れた場合は、C:\kettex\texlive\texmf-dist\scriptsにketcindyフォルダを作って、ketcindyfolder\scriptsフォルダの中身をすべてコピーします。他のTeXシステムについてはパスを読み替えてください。
C:\kettex\texlive\texmf-dist\tex\latexにketcindyフォルダを作って、ketcindyfolder\styleフォルダの中身をすべてコピーします。
C:\Program Files (x86)\Cinderella\Pluginsに、ketcindyfolder\scripts\ketjavaフォルダにあるKetCindyPlugin.jarをコピーします。
Cinderellaの作業フォルダを作りましょう。ここでは、D:\cinderellaとします。ここにketcindyfolder\doc\ketmanualとketcindyfolder\workフォルダの中身をすべてコピーします。さらに、Scriptketlib.txtを
use("KetCindyPlugin");
Dircdy=loaddirectory;
setdirectory(plugindirectory);
import("ketcindy.ini");
と書き換えて、ketcindy.confは
// Re-setting PathT,Pathpdf,PathAd
PathT=PathThead+"platex";
Pathpdf="C:\Program Files (x86)\SumatraPDF\SumatraPDF.exe";
PathR="C:\Program Files\R\R-3.5.2\bin";
PathM="C:\maxima-5.42.1\bin\maxima.bat";
と書き換えます。ただし、各パスは確認の上、適宜変えてください(特にバージョンの番号)。
これでインストール作業は終わりです。作業がうまくできてたか確認してみます。
作業フォルダD:\cinderellaの中のtemplate1basic.cdyを開いてみます。
このように三角形と白い枠線が表示されたらKeTCindyのプラグインはちゃんと動いています。さらに、左上のFigureボタンをクリックして、PDFが表示されたらOKです。KeTCindyを楽しみましょう!
[このページのトップへ]Ubuntu18.10でのKeTCindyのインストール
https://github.com/ketpic/ketcindyより、KeTCindy一式をダウンロードします。zipを解凍して、forLinuxフォルダに入っているインストール手順に従えばよいです。
まず、Cinderella2、R(統計分析ソフトウェア)、Maxima(数式処理ソフトウェア)、TeX(組版システム)をインストールする必要があります。
Cinderella2に関しては、CinderellaJapanに書いてあるとおり、安定版(ビルド番号1835)よりベータ版(ビルド番号1901)をダウンロードしたほうがいいです。Unix InstallerのCinderella_unix_2_8.shをダウンロードして、
sudo bash Cinderella_unix_2_8.sh
するだけ。ただし、Ubuntu18.10では、OpenJDK 11が入っている可能性がありますが、OpenJDK 8のほうだとCinderella2がちゃんと動作したので、特にこだわりがなければ、OpenJDK 8も入れ、update-alternativesでjavaをOpenJDK 8に切り替えます:
sudo apt install openjdk-8-jre
sudo update-alternatives --config java
一度起動して動作することを確認します。日本語はメニューが化けるので、言語は英語に変えたほうがいいです。ショートカットキーCtrl + iを押すと、インスペクタが開きますので、そこから設定します:
RとMaximaは
sudo apt install r-base maxima
で、O.K.
最後にTeXのインストールを。TeXLiveが入っていればOKです。入っていなければ、
sudo apt-get install texlive-lang-japanese
sudo apt-get install texlive-lang-cjk
sudo apt-get install texlive-fonts-recommended
で良かったはず。
いよいよKeTCindyをインストールします。ここで、解凍したketcindy-masterフォルダの構造は次のようになっているはずです:
ketcindy-master
├── HowToInstallE.pdf
├── HowToInstallJ.pdf
├── LICENSE
├── README
├── forLinux
│ ├── ReadmeLinuxE.pdf
│ ├── ReadmeLinuxJ.pdf #Linuxの場合のインストール手順
│ ├── setketcindy.sh
│ └── setwork.sh
├── forMac
├── forWindows
├── ketcindyfolder
│ ├── doc
│ ├── scripts
│ ├── style
│ └── work
│ ├── Scriptkelib.txt
│ ├── ketcindy.conf
│ ├── samples
│ ├── template0.cdy
│ ├── template1basic.cdy #最初に試すサンプルファイル
│ ├── template2slide.cdy
│ └── template3Dfigure.cdy
└── tl-integration
forLinux フォルダ内のsetketcindy.shを編集します。編集するのは冒頭のパラメータだけ:
#!/bin/sh
# 20181226
# Edit and uncomment the following lines if necessary
texpath=/usr/share/texlive
texbinpath=/usr/bin
#ketsrc=~/Desktop/ketcindyfolder
cindyplug=/opt/cinderella/Plugins # Cinderella2の場所は要確認
homehead=~/home/cinderella # 作業フォルダの場所
あとは、setketcindy.shとsetwork.shを順番に実行:
sudo bash setketcindy.sh
bash setwork.sh
これでインストール作業は終わりです。作業がうまくできてたか確認してみます。
作業フォルダの中のtemplate1basic.cdyを開いてみます。
このように三角形と白い枠線が表示されたらKeTCindyのプラグインはちゃんと動いています。さらに、左上のFigureボタンをクリックして、PDFが表示されたらOKです。KeTCindyを楽しみましょう!
[このページのトップへ](オプション) gccのインストール
KeTCindyで3次元の曲面や立体などを扱うには、gccが欠かせません。Rのみでもできますが、描画にかなり時間がかかるからです。Ubuntuでは、
sudo apt install gcc
で一発です。なので、以下、Windowsの場合のgccのインストールを解説します。
KeTCindyのインストールマニュアル通り、minGWをインストールします。minGWのホームページ (http://www.mingw.org)に行って、右上のDownloadsのタブをクリックします。次に、画像のように、中程のボタンをクリックしてmingw-get-setup.exeをダウンロードします。
mingw-get-setup.exeを実行すると、次のようなダイアログが出るので、特に問題がなければ、Continueをクリックします。
インストールする項目はmingw32-base-binとmingw32-gcc-g++-binです。各項目を右クリックして、Mark for installationを選びます。
左上メニューから、Installation -> Apply Changesを選びます。
出てきたダイアログでApplyを選べば、インストールは完了します。
サンプルファイル集のs09surfaceCディレクトリにあるs0911saddleskeleton.cdyを開いてみます。1秒程度で曲面が表示されれば成功しています。Windowsですと、コマンドプロンプトがポップアップすると思います。
描画に時間がかかるなど、うまくいってなければ、ExeccmdCがコメントアウトされていないか確認する(コメントアウトする)ことや、githubから最新のサンプルファイルをダウンロードして試してみてください。
[このページのトップへ](オプション) UbuntuでのCinderella2の関連付け
UbuntuにCinderella 2をインストールしても、関連付けがうまく行っていません。そこで、ここでは、ファイル関連付けとアイコンの設定方法を書いておきたいと思います。Ubuntu18.10で設定を行いますが、他のバージョンでも通じるはずです。
まず、端末で
mimetype A.cdy
とすると、
A.cdy:
と返ってくると思います。これはcdyファイルがCinderella 2と関連付けできていないということです。そこで、端末で
sudo gedit /usr/share/mime/packages/freedesktop.org.xml
(テキストエディタはgeditである必要はありませんのでお好みで)とします。開かれたファイルの最後のほうに次のように書き加えます :
<comment xml:lang="zh_CN">任天堂 FDS 磁盘映像</comment>
<comment xml:lang="zh_TW">Nintendo FDS 磁碟映像檔</comment>
<acronym>FDS</acronym>
<expanded-acronym>Famicom Disk System</expanded-acronym>
<glob pattern="*.fds"/>
<magic>
<match value="*NINTENDO-HVC*" type="string" offset="1"/>
</magic>
</mime-type>
<!-- 以下を書き加えます -->
<mime-type type="application/x-cdy">
<comment>Cinderella file</comment>
<comment xml:lang="ja">Cinderella ファイル</comment>
<acronym>CDY</acronym>
<expanded-acronym>CDY file</expanded-acronym>
<glob pattern="*.cdy"/>
</mime-type>
<!-- ここまで -->
</mime-info>
このファイルを保存して閉じて、端末で
sudo update-mime-database /usr/share/mime
とすると、mimetypeの登録が完了します。端末で
mimetype A.cdy
とすると、
A.cdy: application/x-cdy
と返ってくるはずです。
次に、cdyファイルをダブルクリックすると、Cinderella 2が立ち上がるように設定します。Cinderella 2をインストールしたときに、ホームディレクトリにCinderella2.desktopというファイルが作成されたと思います。これを~/.local/share/applications/の中にコピーします(このディレクトリが存在しなければ作成します)。もしCinderella2.desktopが作成されてなければ、次の内容
#!/usr/bin/env xdg-open
[Desktop Entry]
Type=Application
Name=Cinderella 2
Exec=/bin/sh "/opt/cinderella/Cinderella2"
Icon=/opt/cinderella/.install4j/Cinderella2.png
Categories=Education;
Name[ja_JP]=Cinderella2.desktop
をCinderella2.desktopというファイルとして保存して、~/.local/share/applications/に入れます。最後に、端末で
gedit ~/.local/share/applications/mimeapps.list
として、次を書き込みます:
[Default Applications]
application/x-cdy=Cinderella2.desktop;
このファイルを保存&閉じて、端末で
update-desktop-database ~/.local/share/applications/
を実行すると(ログオフが必要かもしれません)、cdyファイルとCinderella 2との関連付けができます。cdyファイルのダブルクリックでCiderella 2が立ち上がります。
さらに、cdyファイルのアイコンを変えるために、次を行います。
Gnome Tweakなどで今使われてるUbuntuのテーマ(外観)を調べます。もし、Gnome Tweakがインストールされていなければ、sudo apt install gnome-tweaksでインストールします。 私の場合はYaruというテーマでした。Yaruというテーマの場合(Ubuntu18.10ではデフォルトのテーマ)、(別のテーマの場合、以下、名前を変える必要があります) ~/.local/share/icons/Yaru/32x32/mimetypes/というフォルダを作って、
cp /opt/cinderella/.install4j/Cinderella2.png ~/.local/share/icons/Yaru/32x32/mimetypes/application-x-cdy.png
とコピーすれば、cdyファイルはいつものCinderellaのアイコンに変わります。
ただ、アイコンの解像度が不満だったので、Cinderella用のアイコンを作りました。
cinderella_icon_scalable.svgをダウンロードして ファイル名をapplication-x-cdy.svgに変えて、~/.local/share/icons/Yaru/scalable/mimetypes/ディレクトリを作成して、この中に入れればO.Kです。そうすると、